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2018.01.01
米国獣医師学会AAEP報告

弊社獣医師、福田真奈が2017年11月17日~21日の5日間アメリカ、テキサス州サンアントニオで開催されたAAEP(American Association of Equine Practitioners)に参加しましたので以下に報告いたします。

AAEP-1
AAEP(American Association of Equine Practitioners)は1954年に設立された団体で全世界61か国から9300人の獣医師と獣医学生が加入しています。

AAEPは年に数度の小学会と年次の大きな馬学会を開催しており、63回目の年次学会としてテキサス州サンアントニオで開催されましたので参加しました。

プロシーディングはとても厚く、しっかりした発表抄録になっています。

水色は初参加を、紫色は外国人を表しています。

発表内容は繁殖、内科、外科、診療所経営や福祉活動など多岐に渡り、複数会場で開催されるため全てを聴くことは出来ませんが、日頃牧場で馬に接しながら感じていることや興味のあることに関連した発表をピックアップして拝聴しました。

中でも今年は歯及び眼科におけるそれぞれの権威による発表が大きな柱でした。それ以外では個人的に繁殖に関する発表に興味があり、そちらを重点的に拝聴しました。残念ながら、眼科疾患については他の発表と重なったため拝聴できませんでした。

少し学会やサンアントニオの街の様子やTrade Showで見た医療器具などの紹介をします。アメリカのテキサス州にあるサンアントニオは年間を通して温暖(夏は40℃、冬は20℃)であり、ヒスパニック系人口が約6割を占め、スペイン語が飛び交うことも珍しくありません。その昔メキシコの統治下にあったためかメキシコの雰囲気があり、全体的に黄土色の建物が多く見受けられました。

リバーウォークエリア(中心街)には、その名の通り川沿いにレストランや土産物屋やスーパーが並んでおり、夜になると人が集まってきて夕食を楽しむ風景が見られました。

リバークルーズといって、船に乗ってリバーウォークエリアを散策するツアーもあります。私も空いた時間に川からの景色を堪能しました。

また、煌びやかに変化する馬車で夜の街中を観光することができます。日中も稼働していますが、本当に穏やかな性格の馬で、ほぼ動かずお客さんを待っている姿が印象的でした。

初日は、現地到着が午後でしたので、午後からの発表を数点拝聴しました。特に興味を持つ内容の発表がありませんでしたが、AAEPに参加したもう一つの目的であるtrade showで様々な道具を見て回る時間にあてることができました。

やはり歯科道具が多く、中でも電動のものが多くを占めていました。

私も狼歯を抜歯するためのwolf teeth elevatorを購入することが出来ました。

CT

MRI

その他では、CTやMRIが様々な会社から出品されており、海外では診断の1つのツールとしてもはや身近なものになっているのだと感じました。

その他こんな面白いものも


・日本でも導入されている牧場もありますが、ポータブルの吸入器
コードレスなのがうれしいところです。そして、器具からチューブで口かごに繋がっていないので、馬が動いても外れることはなく、少し人間がその場を離れることもできそうです。


・night watch
頭絡にセンサーがついており、GPS機能をつかって夜間の行動を分析したり、心拍数・呼吸数・運動や姿勢までがスマートフォンで分かるというものです。埃や水分にも強く、耐久性に優れ、3~4時間の充電で3~5日はもつのだとか。AAEPによると、アメリカでは90万頭の馬が毎年疝痛を発症しているそうです。そのうち85~90%は内科的治療で済むのですが、6万頭以上が疝痛で死亡するそうです。このnight watchがあれば放牧地でも馬房でも馬の変化が分かるので、その助けになるのでは、というものでした。また、生体の変化を感知できるため、9割近い確率で分娩も察知できるとのことでした。残念なことに北海道ほどの寒さでは放牧地で機能しないとのこと(笑)。寒冷地対策が出来れば、日本でも導入するところもあると思うのですが・・・価格が💲699と高価です。データをリセットすれば他の馬にも装着できるようですので、使い回しができるのですが、何頭も使用するとなると現実的ではないような気もしました。


・HIDEZ社のanimal compression suits
こちらはピタピタの全身タイツのようなもので、ひときわ目立つ展示品でした。
スーツの種類はActive, Travel/Recoveryの2種類があります。

Active Suits

Travel/Recovery Suits

部分商品としては、Compression Sock, Ice/Compression Sockなどがあります。

スーツの特徴は、外圧を筋肉に与えることで、血液の戻りを促進したり、炎症を最小限に抑えたり、 筋肉への血流を促進したりするというもの。これらにより、筋肉の酸素活用が促進される、疲労物質の除去スピードを早める、後発性の筋肉痛(すくみ?)の発症を減らす、筋肉の回復時間を早めるといった効果があるようです。その他にも、毛艶を保つ、虫刺されを防ぐ、といった効果もあるようです。その名の通り、Active Suitsは運動中に着用でき、Travel/Recovery Suitsは輸送時に着用するものになっています。大きな差はわかりませんが、着圧の差などあるのかもしれません。スーツは通気性に優れているようで、冷たくドライな状態でいつでも馬を快適な状態にできるようです。輸送時(飛行機)にも快適で、体温の上昇もなく汗もかかず肢のむくみもなくスッキリしていたという使用者の声も紹介されていました。ジッパーですべては装着できるので、着脱は楽に見えました。スーツの価格はどちらも💲599と意外とお手軽な気がしました。今のところ弊社では使用する必要にかられていませんが、Socksシリーズなら有用性がありそうです。少し浮腫みが気になる育成馬には積極的に圧迫包帯を行っていますし、水冷が必要な馬もいます。はかせておくだけでその効果があるなら試してみる価値は大いにあるかと思いました。価格は💲199、氷を入れるタイプでも💲299です。


・ポータブルエコー(手前のハンディータイプのもの)
コードレスでWi-Fi機能を使ってその場でみんなで見ることが出来るというところが良い。また、この画像のようにレントゲンも同じ端末で同期化でき、非常に便利なツールがあるのだと思いました。

・ウォータートレッドミル

水を溜めることができ、ジャグジー機能もあり、冷却や歩行もできる。

・リハビリ用ギプス?

ダイヤルで可動域を調整でき、球節の曲がる角度を制限できます。骨折明けの動かし出しで使うようです。

翌日より、朝から本格的に学会に参加です。学会のメインイベントの1つであるDr. Padraic M Dixonの発表が朝からありました。発表内容は、「馬の進化と馬歯科学の発展」でした。一番広い会場にほぼ満員、椅子がなく床に座って拝聴する人がいるほど馬臨床家が集まっていました。弊社では扱う馬が若いこともあり、大きな歯科疾患も眼科疾患もありませんが、日頃の基本的なケアや知識に加え、今後遭遇する可能性のある疾患を学べた点は大きな収穫でした。また、カケス口(出っ歯)やカマス口(受け口)といった先天性のものは弊社でも見られますが、成馬でこれらがどのように経過していく、処置はどういったことをするか等、自分にとっては身近な問題として興味深いものでした。その他には、繁殖の発表を主に拝聴しました。繁殖においては、日本から井上先生の卵管通水テストの発表がありました。不受胎の繁殖牝馬において卵子が卵管を通り辛いことによっておこる不妊があります。それらの症例発表でした。発表は素晴らしいもので、他国の馬臨床家が何人も握手を求めている姿があり、同じ日本人として少し誇らしくもありましたし、井上先生や日本の馬臨床界を引っ張っている先生方が普段惜しみなく症例を発表され、私たちに教えてくださることに感謝の思いが溢れました。

20㌉                 16㌉

夜は、同じ日本から来た先生方に夕食を誘っていただくことが多かったです。やはりアメリカにきたならステーキを食べないわけにはいきません。ということで、20㌉のステーキを注文。意外にあっさりと食べられるもので、他の先生の残されたステーキまでいただいてしまい、ここにきても大食いを披露してしまいました。最終日にも16㌉のステーキをたいらげ、他の先生方の残りまでいただいてしまいました。しかし、早食いと大食いはこの世界では身を助けるというか、喜ばれるもので、今回も初対面で緊張していた先生方とも打ち解けることができました。

最後になりますが、5日間AAEPに参加して感じたことは、日本の馬獣医療が必ずしも世界から劣っているわけではないということが一番大きな収穫でした。あれもこれも沢山発表を聴いて多くを学びたいと思いましたが、あえて1つのテーマに特化し、各国から集まってきた馬臨床家の方と沢山意見交換してみるのもいいのではないか、と次回への目標が出来ました。

2018年はカリフォルニア州で開催予定とのことですが是非参加したいと思います。

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